高円宮杯U18は青森山田高校が優勝
先日行われた高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグは名古屋グランパスと青森山田高校の優勝で幕を閉じました。
歴代の優勝チームはほぼJ下部チーム
過去の優勝チームを見るとほとんどがJ下部組織のチームが優勝しています。2011年以降で、高校サッカー部が決勝に上り詰めたのは青森山田と流通経済大付属柏高校の2校です。
大会年 | イースト優勝チーム | 結果 | ウエスト優勝チーム |
---|---|---|---|
2019 | 青森山田高校 | 3-2 | 名古屋グランパスU-18 |
2018 | 鹿島アントラーズユース | 1-2 | サンフレッチェ広島ユース |
2017 | FC東京U-18 | 3-2 | ヴィッセル神戸U-18 |
2016 | 青森山田高校 | 0 - 0 (PK 4 - 2) | サンフレッチェ広島ユース |
2015 | 鹿島アントラーズユース | 1-0 | ガンバ大阪ユース |
2014 | 柏レイソルU-18 | 0-1 | セレッソ大阪U-18 |
2013 | 流通経済大学付属柏高校 | 1 - 1 (PK 5 - 4) | ヴィッセル神戸U-18 |
2012 | 東京ヴェルディユース | 1-4 | サンフレッチェ広島ユース |
2011 | コンサドーレ札幌U-18 | 1-3 | サンフレッチェ広島ユース |
2019年大会で青森山田高校が2度目の優勝をしましたが、それ以外は全てJ下部組織のチームが優勝しているので、まだまだJ下部組織のチームが技術的に優れているということを示している結果だと思います。
従って、J下部組織にセレクションで受かった方がプロへの道は近い。と思うかもしれませんが、その先の未来を見ると一概にそうとは言えない事実が見えてきました。
プロクラブの下部組織のメリット
下部組織の指導は、小学生の頃から一貫した指導体制の下に育成されることや、プロ選手の試合や練習、生活に身近に触れることができることが大きなメリットだと言えます。また、一般的に、基礎技術力は下部組織出身者の方がしっかりしているといわれています。
下部組織に所属していても、必ずプロになれるわけではなく、ユースへの昇格が出来るのは一部の選手のみで、U15,U18と人数は削られ高校卒業後にプロへ昇格するのはほんの一握りと言われています。
高校サッカー部のメリット
高校サッカーにも優れた指導者が多く、強豪校は全国各地に強豪校は存在するためプロクラブのない地域を中心にサッカー部に力を入れる高校も増えています。
主な大会は夏のインターハイと冬の高校サッカー、そして、J下部組織チームも出場する高円宮杯で、大会の数はJ下部組織に所属するより多いと思います。
そのため、トーナメント戦を多く経験していたりするため、挫折を味わったりなど精神面は高校のサッカー部員の方が強いといわれています。
高校サッカーに進むべき理由
テクニックの下部組織と精神力の高校サッカーか
実際にプロになりやすいのはJ下部組織所属と高校サッカー出身とどちらが優位かは一概には言えません。FC東京のトップチーム登録選手を見ると高校サッカー、大学サッカー出身選手とユース上がりの選手は数年間ほぼ同数で推移しています。
従ってどちらがプロになりやすいかの優位性はあまり無く、テクニックを磨くか、精神力を鍛えるかの違い程度で、強豪校に入れる能力があるのであれば、どちらに所属していたとしても見える未来に大きな差はないのではないかと思います。
あえて言うなら高校サッカーがお勧め
私見が多分に入っていますが、プロになる確率がほぼ同じであるなら、高校サッカーを選択したほうが将来の選択肢の幅が広がるので、良いと思います。
打算的かもしれませんが、J下部組織に入るとその先の将来がプロを目指すこと前提になるので、高校に通ってはいるものの、学力の優先度は比較考えられている可能性が高いです。本人が意識していなかったとしても、無意識に優先度を下げてしまいます。
それに対して高校サッカーは、中間期末と避けて通れない勉学におけるテストが定期的に行われるので、勉強を疎かにできない環境にあります。従って文武両道に高校生活を送れるし、大学への進学も視野に入れた高校生活プランが建てられやすい環境にあると思います。
ただしこの考え自体が、プロになれなかったときのことを考えた挫折回避プランである事は間違い無いので、プロになる可能性を暗に下げているだけかもしれず、やはりJ下部組織で切磋琢磨した方が良い結果がついてくるかもしれません。
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今年の高円宮杯を見て感じたこと
今年の高円宮杯の決勝戦の名古屋グランパス対青森山田高校の戦いを見て感じたのは、青森山田のプレスの速さとスピードの速さです。
ポジション取りが上手いということもありますが、相手がキープしている時のディフェンスのプレスの速さや、パスを出した先へのプレッシャーのかける速さが半端なく早いチームです。
進化を続けている高校サッカー
昔の高校サッカーは、ボールを自陣から敵陣に蹴り入れるロングボールを多用する攻撃でしたが、 青森山田高校は繋ぐサッカーも出来ていてテクニック的にそれほど劣っているようには思えませんでした。その結果、精神的に勝っている青森山田が勝利を勝ち取りました。
青森山田高校の様な泥臭さをも感じつつ戦略もしっかりしたチームが今後高校サッカーでも主流になってきていて、高校サッカーの指導者も最近は高校サッカーで勝つための戦術ではなく、将来でプロで通用するための戦術、テクニック指導と体力作りを行っているチームも増えています。
高円宮杯でJ下部組織と戦い勝ち抜くために、高校サッカーも変化をしていて、今後、高校サッカーが高円宮杯で優勝するチームが増えてくるのではないかと感じました。
今は、トップチーム昇格はユースと高校大学では半々ですが、高円宮杯決勝のような戦いをする高校が増えてきたら、サッカー人口は圧倒的にJ下部より高校サッカーの方が多いので、今後高校サッカー出身者が増えてくるのではないかと予見した試合でした。